2008年5月6日 小学生を60名(午前30名、午後30名)集めて行なった模型教室.。静岡模型協会さんに、素材を提供していただいて、ジャンクパーツでオリジナルメカを創る催しで、創られた作品です。
*この記事は、20018年の記録です。
・みんなの作品
さて、ここからは子供達の作品を見ていただきます。
小学一年生から六年生まで60人の子供たちが、たった2時間で作った作品です。色も塗っていません。
でも、模型を作る楽しさが爆発しているものばかりです。
全部で70作品くらいあるので、今回は抜粋してお送りします。
・みんなの作品1〜10
僕はこの作品が、気に入っちゃたんだよね。 移動要塞のような雰囲気です。横山宏先生の『シェンケル』にも通じるものがありますね。 飛行機のボディパーツを足にしちゃう発想がいいね。ちゃんと自立するのもエライ!! |
カッコイイねえ。 僕も子供の頃、こんなのばかり作ってた気がするね。 |
クリアーパーツを『眼』にしてるところがポイント高し! 足もちゃんと作ってあるね。メカ鳥かな? |
とにかく、くっつけたいものを、くっつけちゃったカンジ(笑)。 で、男の子は『大砲』が好き(笑)。 |
ボディの真ん中にエンジンがあるところが、なんだかレコードブレーカーみたいでカッコよろしい。 |
これは、ステルスみたいだねえ。 でも、なんでみんな、羽の上にホイールをくっつけたがるのかなあ? |
もう、これはオブジェですねえ。 メカというより、妖怪ですな。 |
クワガタ型は、人気のモチーフ。 毎回、何人か作りますね。 これなんか、ちょっといじれば、バットマンの映画に使えそう。 |
これは可愛い! コンパクトカーのデザインに使えそうです |
これもクワガタモチーフかな? っていうか、スピナーにも似てる。カッコイイね。時間があったら、色まで塗れれば、もっともっとカッコよくなるんだけどねえ。子供の教室ということと、時間や予算の関係で、いまは、まだ無理。模型合宿なんて、いいのにねえ?どこかのメーカーで、やってくれないかしら?僕ら、協力するからサア。 |
・みんなの作品11〜20
いいじゃないですか! カッコいいよねえ。 ダンガンレーサーのボディに、バルキリーのパーツ・・・メーカーを越えたコラボだねえ(笑)。 |
きっとこの子は、「横にフィギュアを置きたかった」んだよねえ。 わかってるねえ。 戦車作っても、兵隊さんを作らない人は、見習ってほしいね(笑)。 |
おっ!なんだかスーパージェッターの流星号を思いだしますな。 メッキパーツ、一生懸命削ってましたね。 |
チキチキマシンのマジックスリーを思い出しますな。 でも、子供は、きっと、そんなの知らなくて、「プロペラつければ、クルマが空を飛ぶ」っていう発想なんでしょう。いいねえ。自由で。頭の堅い大人だと、「これじゃ、飛ばない」とか、ツマラナいことを言いそうです。 良く見ると、左右非対称で、横にエンジンが付いてるのがカッコいいね。 |
うーん、これは、なんなのでしょう? ロボットなのかな? |
今週のビックリドッキリメカ・・・ではありません。 「ムツゴロウ!ムツゴロウ!」とかも言いません。 カワイイ・・・。 |
こういうフィギュアが欲しくて、みんなでジャンクの山を探します。 大人のモデラーになると、使わなくなっちゃう人が多いんだけどね。不思議だねえ。 子供達は、「フィギュアを乗っけると楽しい」ことを知っています。 これ、良く見ると眼があったり、背中にヒレがあったり..モチーフはサメなのかな? |
これが、当日会場に見学に来ていた大人たちや、テレビの取材陣に一番人気でした。 配色が良いね。 タミヤのダンガンレーサーのパーツをクチバシにしたんだね。 |
戦車の足周りのパーツを使ってる。なんだか禍々しくて良いよね。 クルマのドアの内ばりのパーツを『羽根』にしようなんて発想は、大人にはなかなか思い付きません。 |
おっ!映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』に出て来たホバーのボードみたい。 子供なりに、それぞれのパーツに『意味』があるんだろうなあ。 |
・みんなの作品21~22
これは、女の子の作品です。 プロペラが回るところが、本人のお気に入りでした。 |
なんだか羽がいっぱいで・・しかも質実剛健ってカンジのフォルム。 スターウォーズの新三部作に出て来そうだね。 |
・新聞で紹介されました
で、これが翌日の新聞記事。
・いかがでしたでしょうか
いかがですか?
小学生が、2時間で作った作品でした。
さて…
最近、僕は、模型(プラモデル)を作ることと、「絵や漫画を描くこと」とをくらべることがあります。(ホントは、くらべることがおかしいのですが)
昔、模型(プラモデル)を作らない友人に、「プラモデルなんて、誰が作っても同じでしょ?」って言われて、憤慨していました。
でも…今は、その友人の言葉が、少し解る気がするのです。
特に、展示会を行なうようになってから、そういう気持ちがだんだん大きくなってきました。
僕は、漫画を描く仕事の中で、仕上げってのが、あまり好きではありません。ホワイトや、ベタ塗り、消しゴムかけ、スクリーントーンを貼る・・等の作業です。
それは、アシスタント(他人)が代行出来る仕事です。(貧乏漫画家のワタクシは、ほとんど自分でやりますがネ)
デビュー前、アシスタントをしながら、「はやく、自分の漫画を描きたい!」と、悔しく思っていた経験が、そう思わせるのでしょう。アシスタントは、作家ではない。
作家のメッセージが作品には現れますから、たとえば、「他人のラブレターを書くのを手伝ってる」ような、気分になることさえありました。
よく、劇画の人気作家が、「自分で描いて無い」と文句を言われていますが、作家性が一番顕著に現れるのは、ネームや構成・・コマ割の『間』とかであって、そこさえ創れば、あとは他人が描いたって、それは、その作家の作品だと思えます。
で、プラモデル。
乱暴な言い方をしてしまえば、たとえばガンプラのパチ組みは、ジグソーパズルを組むのに似ています。誰が作っても同じ。(しかし、バンダイの巧みな設計をトレースすることで、それはそれで、楽しいのですが…)
で、スケールモデル等に綺麗に色を塗って仕上げても、それは「良く出来た塗り絵」のように、最近の僕は感じることがあります。(このことは、またいつか、ゆっくりお話しましょう。)つまり、これはアシスタントの仕事で、作家の仕事ではないような気がするのです。
…なんだか…最近、プラモを作るテンションがあまり上がらなかったり、展示会でツマラナかったりするのは、そのあたりが引っ掛かってる自分がいたのです。ほかの、模型を永年作ってる人は、そういうジレンマを感じないのだろうか?と疑問に思ったりして、pura.puraの仲間に、そんな相談をしたりもしました。
大手のメーカーが、完成品を売る時代。
なんだ…自分は、メーカーの仕事の「仕上げ」をするだけ?…。よけいに、そんな気持ちになってしまいます。それでは、自分の「作品」と、胸をはってイバレない(笑)。それじゃあ、ツマラナイな…と。
で、この子供達の作品。
これらは、乱暴な「落書き」ではありますが、とても「自分の絵」に近い感じがする。
もし、今、年々減少している模型人口という現実があって・・・プラモデルの未来になにか、「新たなる希望」があるのなら…こういうことがヒントになるような気がするのです。
メーカーが、完成品を売っちゃう時代だからこそ。
ゴメン、別に僕は、モデラーに喧嘩を売ってるわけじゃないんです。それは解って欲しい
プラモが好きだからこそ…の想いなのです。
僕がいま、一番欲しいプラモデル。それは、誰が作っても同じにならないプラモデル。